我々が人民元の将来を有効活用するには?

SDRの構成通貨入りした人民元(RMB)

人民元は管理フロート制という
ゆるやかに米ドルにペッグした状態であるが、
他の通貨に連動した状態でのSDR加入は前例がない。

来年10月までに
国際決済通貨(ハードカレンシー)となるべき人民元、
中国の通貨当局がまず着手すべき点は
この為替管理をやめることになるのではないだろうか?

仮に米ドルとのペッグをやめるとどうなるか?

何かと不透明である
中国経済および人民元の真の実力は
なかなか見えにくいものではある。

金融緩和(QE)を終了し、
さらには年内の利上げが予想されている米ドルは
ここ数年総じて他の通貨に対して切り上がってきている。

連動している人民元も
それに引きずられて上昇している部分があるだろう。

米ドルに連れ高していることが
原因で割高になった中国の輸出が伸び悩み
昨今心配されている経済成長の鈍化を
誘引している要素は否めない。

ドルペッグが原因で
人民元が実力以上に高い状態で留め置かれている、
というのも可能性としておおいにありえるところであり、
その状態で為替を自由化すると
人民元は現在の水準より下落することが考えられる。

一方でIMFは
SDR構成通貨入りの条件として
中国に「資本の自由化」を求めている。

要は中国のへの
お金(資本)の持ち込みと
持ち出しを今より自由にする、
あるいは外国企業が単独で
中国に投資をしやすくするように
制度改革をするということである。

もし資本の流入と流出が自由になり
短期的にでも人民元が下落することになると、
最初は資本流出の方が多くなると考えれる。

それはさらなる
人民元の下落につながるだろう。

外貨建ての債務を抱えている
民間企業や個人などはその債務が
肥大化することにより破綻の危機に
さらされることになるかもしれない。

資本の自由化を受け入れて
IMFに従うということは結局
西側のルールの下で金融活動を
行わなければならないということなので、
中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行の
4大銀行を始めとする中国の大手銀行も
BIS規制の縛りの中で苦悶することになるかもしれない。

国際取引業務をするためには
自己資本比率8%を維持しなければならない、
というかつてバブル崩壊後に
日本の大手銀行が苦しんんだアレである。

中国側にとっては新しい基準で
ルールが引き直されることになり、
大手銀行が資本不足に陥ることは可能性として低くない。

そこに資本の自由化が絡むとどうなるか?

背に腹を変えられなくなった
中国の大銀行が外資に資本協力を
求めるようなことも起こってくるかもしれない。

しかし、
これは必ずしも中国にとって悪いことではなく、
過去20年の経済成長での生産技術の蓄積と
豊富な労働力が健在な今通貨安は
輸出競争力の復活につながるからである。

他方、
輸入品の高騰などで国内では
インフレが発生するはずだから、
金融は引き締められることになり
現在下落傾向にある金利は
再び上昇することになるかもしれない。

そのときに国際決済通貨として
テイクオフに成功しているとすれば、
本来準備外貨として人民元の需要が
他国で高まっていることも相まって
人民元は上昇することになるかもしれない。

今、利上げに伴って
より一層の上昇が予想されている
米ドルと同じ理屈である。

かつてUSD1=JPY360で
米ドルにペッグしていた日本円が
変動相場制になったことにより、
今日(こんにち)の為替水準に到達している
事実にも思いをはせる必要もあるだろう。

過去3〜4年間、
人民元の運用は非常に
運用効率の良い投資だった。

例えば2011年11月に
100万円を中国に持ち込んで
5年定期を組んだとする。

2012年11月頃の
日本円と人民元の為替レートは
RMB1 = JPY12.8ぐらいだったので、
100万円は約RMB78,000ということになる。

2015年12月。

まる3年が経過して獲得した金利は、

RMB78,000 X 5.5% X 4年 = RMB17,160

ということになる。

元本と合計してRMB95,160。

これを日本円に換算してみる。

2012年以来円安が進んで、
現在の日本円・人民元レートは
RMB1 = JPY19程度になっている。

RMB95,160はJPY1,808,040である。

この4年間、日本円ベースでは
実に80%の以上利益が出たことになる。

単利の年利回りは20%

定期預金という低リスク運用で、である。

SDR構成通貨入りを果たした
人民元には再び大きな為替変動と
金利変動の可能性がある。

この新しい動きの波に乗るために
中国銀行など本土の銀行に口座開設として
来るべきときを待つというのも
これからの投資戦略に組み込んでおきたい。

海外資産運用メールマガジン【国境なき投資戦略】

投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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