日本と香港、所得に対する手取額を比較する3

日本と香港を
それぞれ拠点として働いている
年収600万円と年収2,000万円の人の
税引き後の収入を比較してみる。

【単身者で年収600万円の社会保険に加入している日本人の手取り収入概算】

年間給与収入:JPY6,000,000(JPY500,000/月)
給与所得:JPY4,260,000
課税所得:JPY3,020,000

所得税(税率10%累進):JPY208,000
住民税=県民税+市民税(税率10%):JPY309,000
社会保険料:JPY863,000

税・社会保険料引き後手取り額:JPY4,620,000 (JPY385,000/月)

【単身者で年収HKD400,000(約600万円)の香港人の手取り収入概算】

年間給与収入(10%の住宅手当を含む):HKD400,000(HKD33,333/月)

基礎控除:HKD132,000
MPF控除:HKD15,000
課税所得:HKD253,000

所得税(税率17%累進):HKD31,010
MPF(強制積立年金):HKD18,000

税・社会保険料引き後手取り額:HKD350,990

これを日本円に換算すると、

年間給与収入(10%の住宅手当を含む):JPY6,000,000(JPY500,000/月)

基礎控除:JPY1,980,000
MPF控除:JPY225,000
課税所得:JPY3,795,000

所得税(税率17%累進):JPY465,150
MPF(強制積立年金):JPY270,000

税・社会保険料引き後手取り額:JPY5,264,850

手取り額だけを見ると
香港の方が65万円程度多い。

所得税は日本が
住民税を含めて20%、
香港が17%なので
それほど差があるわけではない。

所得税の計算の
基となる課税所得も
香港の方が多いので
単身者にかかる控除は
日本の方が大きいといえる。

この年収クラスで比較した場合の
大きな差は社会保険料だと言える。

逆を言えば香港の社会保障は
日本ほど充実していないということである。

MPF(強制積立年金)が
カバーするのは年金だけなので
日本の国民保険や社会保険にあたる
公的医療保険は香港にはない。

なので手取り収入の中から
自分で民間の保険会社が提供する
医療保険に加入しなければならない。

例えば35歳の人が
AIA社が提供している
CEO Medical Planという
医療保険に加入する場合の
年間保険料は以下の通りである。

[米国を含む全世界の医療保険]

全額保障:HKD32,000
HKD4,000以上の医療費を保障:HKD28,640
HKD16,000以上の医療費を保障:HKD15,840

[米国を除く全世界の医療保険]

全額保障:HKD15,840
HKD4,000以上の医療費を保障:HKD13,440
HKD16,000以上の医療費を保障:HKD7,840

米国の医療費は突出して高いので
米国を含むか含まないかで
保険料には結構大きな差が出てくる。

また年間の医療費のうち
HKD4,000まで自己負担をするプランと
HKD16,000まで自己負担するプランも用意されていて、
自己負担額が大きければ保険料が安くなる。

日本の公的医療保険は
自己負担が基本的に3割(6歳-69歳)なので
ここをきれいに比較することはできないが、
仮に米国で病院にかかっても
通常の医療であれば給付金を受けることができる。

日本と同じ条件で医療にかかるには
香港でも年間50万円程度の保険に入る
必要があると言って良いだろう。

この年収クラスで比較した場合の手取額は
日本でも香港でもほぼ同じぐらいだと考えてもよい。

もちろん香港で民間の
保険会社を利用する場合は
アメリカに行く予定がなければ
米国を除くプランを選んだり、
健康に自信があれば病院にかかった場合の
自己負担の大きいプランを選択することで
年間の医療保険料を抑えることも可能。

こうした柔軟性があるのは
民間の保険会社を利用する
メリットとも言えるだろう。

【単身者で年収2,000万円の社会保険に加入している日本人(40歳以下)の手取り収入概算】

年間給与収入:JPY20,000,000(JPY1,670,000/月)

給与所得:JPY17,700,000
課税所得:JPY15,770,000
所得税(税率33%累進):JPY3,750,000
住民税=県民税+市民税(税率10%):JPY1,590,000
社会保険料:JPY1,550,000

税・社会保険料引き後手取り額:JPY13,120,000 (JPY1,090,000/月)

【単身者で年収HKD1,333,000(約2,000万円)の香港人の手取り収入概算】

年間給与収入(10%の住宅手当を含む):HKD1,333,000(HKD111,111/月)

基礎控除:HKD132,000
MPF控除:HKD15,000
課税所得:HKD1,186,000

所得税(税率17%累進):HKD189,620
MPF(強制積立年金):HKD18,000

税・社会保険料引き後手取り額:HKD1,125,380

これを日本円に換算すると、

年間給与収入(10%の住宅手当を含む):JPY20,000,000(JPY1,670,000/月)

基礎控除:JPY1,980,000
MPF控除:JPY225,000
課税所得:JPY17,790,000

所得税(税率17%累進):JPY2,844,300
MPF(強制積立年金):JPY270,000

税・社会保険料引き後手取り額:JPY16,880,700

※HKD1=JPY15(2016年12月時点)

手取りを比べると
年間376万円の差が出てくる。

原因は日本の所得税率(国税)が
この収入クラスだと33%となり、
住民税を含めると課税所得の43%になるのに対し、
香港の場合は課税所得に対して17%が上限だからである。

すなわち
年収600万円ぐらいまで
収入に対する手取り額は
日本と香港ではほぼ同じだが、
収入がそれ以上増えるにつれて
大きく差がついてくることになる。

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投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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