ノルウェーのベルゲンという町にいる。

一昨日の午後、
ドイツのキールからフェリーに乗って
ノルウェーの首都オスロに到着したのは午前10時頃。

妻と二人でこの旅の愛車である
フォルクスワーゲンゴルフを転がし、
両脇に針葉樹のそそり立つ片側一車線の道をひた走る。

リアルにトナカイ注意の道路標識がある。

時折車窓の外に水が見える、
一見、川か湖のようだが実は海。

フィヨルドと呼ばれる
太古の氷河が削り取った谷が
海に沈んだためにできた細い湾（入江）だ。

入江の脇に切り立つ断崖絶壁は
1,000m以上に達するところもあるという。

海岸線にあるベルゲンまではまだ200km近くもある。

そんな内陸にある奇妙な海、神秘的な風景。

トンネルも多い。

一番長いものでは25km以上もあった。

長いトンネルの中には
一定距離ごとにドーム状に
広くなっているところがある。

一際明るいその場所は休憩ができたり、
いざという時の退避場所になったりするのだろう。

トンネルの中の
三里塚のようなものだろうか、
暗く長いトンネルの中を走る最中、
そこを通り過ぎる度にいくらか気持ちがやわらぐ。

ベルゲンに到着し、車を停めた。

この町には有名な
世界遺産であるブリッゲンという
カラフルな三角屋根の建築物がある。

本来は倉庫として
使われていた建物だが
今は観光地らしく土産物屋や
レストラン、バーがテナントに入っている。

そのうちのひとつの
レストランに入り夕食の魚料理を注文、
生ビールを注ぎ込む。

300キロに及ぶ長時間の
ドライブで疲労した身体に
アルコールはよくまわる。

雨の多いベルゲンも
今日はすばらしい晴天、
こんなに陽の高いうちから
ブリッゲンのオープンカフェで
ビールを飲んでいるなど、
ほんの１週間前までの生活からは
想像がつかない贅沢だ。

時間は午後8時半だが、
北緯60度という高緯度にあるベルゲンの8月は
この時間でも真昼のように明るい。

僕は勤めていた会社を退職したばかり。

退職したといっても
8月末まではそれまで使いきれなかった
有給休暇の消化に当たるので
厳密に言えば8月末までは
在籍していることになっている。

つまり会社員として
最後の給料をもらいながら
1ヶ月のヨーロッパドライブを
楽しませてもらっているというわけだ。

9月からは上海で自分の事業を興す。

これまで
大きな組織の傘の下にいた身、
不安がないわけではないが
決断したからにはやるだけだ。

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ちょうど10年経った。

画像は2005年8月18日に撮ったもの。

昨日、
外付けハードディスクに
保存されている古いファイルを
見ていてふと思いついた。

今の状態があのとき想像した
10年後の姿かどうかは忘れてしまったが、
まあ何とかやっている。

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