人民元の切り下げが広げる波紋

本日2015年8月13日時点まで、
中国の中央銀行である中国人民銀行は
3日連続で人民元の切り下げを実行した。

かつて米ドルと
固定レートを採用していた
人民元は2005年に管理フロート制という、
中国人民銀行が定めた基準値の
上下2%の範囲で為替変動を
許容する制度を採用している。

この背景には当時、
中国に対する貿易赤字が
増大していたアメリカの
圧力があったのは公然の事実だ。

要するに
人民元は実勢と懸け離れた
不当に低いレートで
米ドルに連動させているために
米中の間には貿易の不均衡が生じているので
適正な為替レートになるように是正を求めたわけだ。

とはいえ、
完全な変動相場制の導入は
難しいと考えた中国政府が
このような管理変動相場制を
採用したというかたちだ。

今回の切り下げは

「基準値の算出方法を変更する」

という名目でおこなわれた。

本来の人民元の基準値は
ドルにほぼ連動させていたために
経済成長率が大幅に減速しているにもかかわらず、
昨今のドル高傾向に引きずられて
1年間に10%以上も上昇していた。

日本円の下落も相まって
大きく落ち込んだ輸出回復のために
早急な対策の必要に迫られていたと考えられる。

人民元の対米ドルレートは
3日間でUSD1=RMB6.1162から、
USD1=RMB6.4010へと3日間で4.66%下落した。

輸出における
中国の競争相手であり、
中国自体にも物を買ってもらっている
インドネシアやマレーシア、ベトナムなどの
東南アジア諸国も競争力維持や
中国に継続して買ってもらうため
政策的に自国通貨を切り下げる可能性がある。

まさに通貨安競争に陥るわけだ。

不安定な通貨から
逃げた資金が信頼度の高い通貨に
押し寄せる可能性がある。

アジア各国から
退避した資金が
近くの日本円に向かい
再び円高傾向になることは
大いに考えられる。

また、
QEを終え上昇している米ドルも
当然資金の行き先になるだろう。

ここに
9月とも12月とも
言われているアメリカの
利上げがあったらどうなるか?

資金はかつて
予想されていたよりも
加速度をつけて新興国から
流出することになりはしないか?

アジアの通貨が
ドミノ倒しのように暴落。。

そもそもこの状態で
米ドルの利上げはあるのか?

今回の人民元の
切り下げの波紋が
どのように広がるか。

それはまだまだこれからのことである。

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