外国人の日本不動産投資から分散の重要性を学ぶ

最近の中華系の人たちによる
日本不動産購入の流れに興味があって
様々な場所でヒアリングをしている。

日本円はここ3年あまりで
USD1=JPY80からUSD1=JPY120台へと
30%以上も下落したので、
日本円建ての国内不動産は外国人に
とってどんどん安くなっている。

例えば都心にある
1億円のマンション、
いわゆる億ションは3年前の
2012年ごろは米ドルでUSD125万だったが、
1ドル124円前後の2015年7月現在では
USD80万ということになる。

これを香港人の視点から見ると
2012年ごろHKD1=JPY10程度だったので
億ションはHKD1,000万だったが、
HKD1=JPY16の現在では
HKD625万程度に下がったことになる。

中国本土の人にとってみれば
2012年ごろは約RMB1=JPY12だったので
億ションはRMB800万ぐらいだった、
RMB1=JPY20の今はRMB500万である。

ちなみに1億円出せば
ざっくりと麻布や広尾など
都内の一等地に70~80平米ぐらいの
新築マンションが買える。

香港における
同じような一等地で
現在1億円=HKD625万のマンションを
検索してみると400sqf(37平米)程度の
中古マンションが買えるぐらいである。

上海でも
RMB500万で買えるのは
一等地では50~60平米ぐらいの
中古マンションである。

日本人の我々から見れば
香港や上海の不動産は目ん玉が
飛び出るように高価なものであるのが
わかるだろう。

逆を想像してみると
彼ら中国人にとってみれば
日本の不動産は

「なんて安いんだ!」

と叫びたくなるような価格なのである。

だが、
実際に華僑を含む
中華系の人たちが今になって
日本の不動産を急に購入しはじめたかというと
必ずしもそうではないようだ。

実際に日本のデベロッパーが
香港や台湾、シンガポール、
中国などでの営業を強化しはじめたのは
2008年のリーマンショック直後に遡る。

世界金融危機により
マンション不況が訪れ、
その活路を海外に求めたのだ。

だがその後
円高が徐々に進んだために
海外の人にとって日本の不動産は
どんどん割高になってゆく流れになり、
その伸びは緩やかだった。

資産分散のために
日本円建ての資産を
持っておこうという富裕層や
永続的な土地の所有権を持てることに
魅力を感じた中国本土の人などの購入が
地道に積み上がっていったのである。

2012年の下半期から
円安傾向が現れたので
外国人にとっての日本不動産投資の妙味が増し、
売れ行きが加速したというのが実際のところらしい。

ある意味日本の
デベロッパーや仲介業者が
時間をかけておこなってきた
営業努力が昨今の円安により
実を結んだとも言えるのである。

一方そこには
着手の早かった投資家の
フラストレーションも
少なからず存在するようだ。

円安が進み始めたとき、
1ドル100円程度で結構長い
踊り場のような期間があったが、
その頃

「日本円は充分に下がった」

と判断した投資家が
多くの物件を購入した。

しかしその後
日本円は再び下落して
現在の124円程度になっているわけである。

つまり2年ぐらい前に
参入した外国人たちは
自分が買った不動産の外貨建て価値の下落、
そして家賃収入として受け取る
日本円の価値も毀損してゆく、
という厳しい環境の中にいるという現実がある。

黒田バズーカと呼ばれる
金融緩和の効果もあり、
日本の不動産相場は上昇方向にあり、
含み益やキャピタルゲインも
生まれているが早めにこの市場に
参入した海外の投資家には
より大きな為替差損を
被っている人も少なくないのである。

これは日本人の視点では
なかなか見えにくいところだろう。

今、特に都心部を中心に
不動産投資は上昇しているので、
国内の不動産投資に取り組んでいる人には
キャピタルゲインを得ている人も少なくないだろう。

自国でおこなう
投資に為替は関係ないので、
外国人投資家が感じる損失とも無縁である、、

ように見える。

だが、
実際には世界水準では
国内の不動産資産は目減りしている
ということは意識しておいた方が良いだろう。

仮に本文で述べたような
外国人投資家と逆のパターンで
日本人が数年前に海外の不動産に
投資をしていたとしたら
その価値は日本円換算でかならず
増大していることになるからだ。

資産の分散配置はかくも重要なのである。

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