中国の中央銀行である
中国人民銀行は10月23日に
人民元(RMB)の政策金利を
0.25%引き下げるとともに
銀行の預金準備率を引き下げた。
人民元の利下げは
過去1年間に6度目となる。
7月から9月(第三四半期)の
実質国内総生産(GDP)が
年率換算で6.9%という
6年半ぶりの低水準だった危機感から
こうした金融政策を採っていることは明らか。
また、
7月と8月に暴落した株式市場に
どうにかして資金を呼び戻したいのだろう。
巷には中国の成長の
終わりを語る声も多いが、、
中国銀行の預金金利は新たに、
普通預金:0.3%
3ヶ月定期預金:1.35%
6ヶ月:1.55%
1年:1.75%
2年:2.25%
3年:2.75%
5年:2.75%(※)
※10月26日時点で
中国銀行のHPにはこう記載があるが
もしかしたら5年定期は間違いの可能性あり。
前回は3.25%だったので他の金利が
すべて0.25%下がっているので通常は3.00%となるところ。
金利が引き下げられると
預金をしていても旨味がなくなるので、
人々には預金を引き出して
それをもっと期待利回りの高い株などで
運用したいという動機が生まれる。
貸し出し金利が下がって
資金調達コストが低くなるので
企業はこの機会に設備投資、
個人は住宅ローンを利用して
住宅を購入するという高額の需要が
喚起されるので消費が好調になる。
株式市場が活性化して
消費が活発になれば景気は
良くなる方向へ動くわけである。
金利を下がるということは
お金の価値を下がるということだから、
人々はできるだけ早くそれを
手放して実物資産に変えようとする。
やがて物価が上がってゆく(インフレになる)
インフレの環境下では
相対的に企業収益が改善し、
従業員の所得も上がり、
初期には景気に良い影響を与えるのだが、
物価の高騰が続くと次第に家計が苦しくなってくる。
所得の低い人は
食料や衣料といった生活必需品さえ
買うのに苦労するようになる。
特に格差がひどく、
多くの貧困層を抱える中国では
これは深刻な問題である。
また金利が低く、
借り入れが容易な状況下では
株式や不動産市場にバブル
(実際の価値を超えて過剰な高値で取引される状態)が
発生しやすくなる。
人々が融資を受けて
身の丈以上の投資ができてしまうからだ。
悪い経済指標が続く昨今では
高いインフレや新たなバブルの危険も
むしろ恋しいというとこるだろうか?
直近でもっとも
金利が高くなったのは
2012年6月8日の利上げのあとで、
普通預金:0.5%
3ヶ月定期預金:3.10%
6ヶ月:3.30%
1年:3.50%
2年:4.40%
3年:5.00%
5年:5.50%
であった。
1年定期で今より1.75%、
3年定期は2.25%も高かったわけである。
なぜこれほどまでに
高水準だったかというと、
その前段階で急激なインフレと
バブル懸念に見舞われていたからである。
2008年の
リーマンショックに
端を発する世界同時株安後、
中国は大幅な金融緩和に踏み切り、
いちはやく危機から脱して景気回復を図った。
その影響で
急激な物価上昇が訪れ、
2010年頃から今回の利下げ局面とは逆に
数ヶ月ごとに利上げが実施されていた。
2010年10月から2011年7月までの
1年足らずに5回の利上げが行われている。
そして11ヶ月空けて
2012年6月に金利は最高となった。
つまりこの時点では
中国の景気は相当加熱気味であったのだ。
もっと前に遡ると2007年、
サブプライム問題・リーマンショックの
一年以上前に中国株に大暴落を演じている。
2015年の大暴落で
個人投資家の自殺者が続出したが、
2007年のときも同じだった。
そして
「中国の成長の終わり」
がやはり声高に
言われていたのである。