ブックメーカーアービトラージの話(3)

投資案件として展開していた
ブックメーカーアービトラージの破綻。

理由はブックメーカーの賭けによる
リターンが低くなっているにもかかわらず
コストや利息を
支払い続けていたことにより
経営が行き詰り、
その先の利息の支払いや
元本の払い戻しが
できなくなったということである。

スキームの破綻によって
多くの投資家が損失を被った。

現在、この件は裁判で係争中である。

一説には資金は集めたものの
実際のブックメーカーの賭けによる
運用は十分に行われておらず、
新しい参加者の投資金を
古い参加者の配当に回すといった
タコ足配当のような形になっていたとも
言われている。

これが巷で「詐欺」と
言われている原因のようだが、
本当に詐欺による犯罪かどうかは
裁判所が判断するだろう。

個人的には
この件の経緯には実に多くの
教訓のようなものが
含まれているように感じていて、
「投資」というものを考えるとき
いつも思い出すようにしている。

この投資は
非常に風変わりなもののため、
多くの人は話を聞いて
興味は持つものの実際には見送ったり、
投資していた人も最初

「試しに少しだけ。。」

という形で
参加した人が多いようである。

しかし資金を投じてからは
きちんと約束通りの毎月5%の
利息(配当)が入ってくる。

1ヶ月、2ヶ月・・1年と
約束が履行されてゆくにつれ、
いつしかそれがずっと続くものと
信じてしまうのである。

こんなに
ラクに資金が増えるのなら、
と最初は少額ではじめた人も
追加投資をするようになり、
銀行口座に貯まった利息も
再投資に回すようになるのである。

一方それを見て
最初は見送った人も
新たに参加するようになり、
将来的な損失を自ら増やしてしまうのだ。

この人間の心理の動きは
ごくごく自然なことであり、
抗いがたいもののようである。

こうした損失を経験した人は
苦い記憶により新たな失敗を
防ぐことも可能かもしれないが、
経験のない人は他人のこうした
失敗経験を自らのことのように
感じて判断力を持つしかない。

賢者は歴史(他人の経験)に学び、
愚者は(自分の)経でしか学ばない。

また、
ブックメーカーアービトラージの案件が
広がっていった背景には運営者と
投資家の他にこの両者をつなぐ紹介者の活動がある。

紹介者は運営者に
投資家を紹介すると
その投資金額に応じた
紹介手数料が支払われていた。

純粋にその手数料を
目的に投資家にこの案件を
勧めていた人もいるかもしれないが、
多くの紹介者は自分自身も運用していて
本当に良い案件だと考えて
勧めていたことが考えられる。

毎月約束された配当が
数年間にわたってきちんと
振り込まれているという事実は
それだけ人を信じさせる魔力があるだろう。

良いものは
自分と良好な関係にある人たちに
教えてあげたいというのは
人間の自然な感情である。

本当に良いものだと
信じているから力一杯勧めてしまい、
自分が損をするだけではなく
友人や顧客を巻き込んでしまうのだ。

そうして破綻すると
彼らからの信頼を
失ってしまうことになる。

さらに裁判で
主催者が有罪にでもなれば、
それに自分が加担したことにも
なるわけである。

海外資産運用メールマガジン【国境なき投資戦略】

投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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