「パナマ文書」漏洩に思う。時代の変化に対する対処法

「パナマ文書」

という機密漏洩が世界が騒がせている。

パナマの大手法律事務所

「モサックフォンセカ」

からタックスヘイブンを
利用している人の情報が
ハッカーによって大量に
流出した事件である。

そのリストの中には
ロシアのプーチン大統領や
中国の習近平国家主席に近い人物、
イギリスのキャメロン首相の父親、
ウクライナのポロシェンコ大統領、
サッカー選手のメッシや
俳優のジャッキーチェンなど
著名な人物の名前が載っていることが
大きなニュースになっているわけだ。

これにより実際に
現職のアイスランド首相が
辞任するという事態にまで発展している。

オフショアまたは
タックスヘイブン(租税回避地)は
海外から進出くる企業に税制的な
優遇を与えている地域である。

タックスヘイブンには
ヨーロッパのモナコ公国やサンマリノ共和国、
英国領のマン島やジャージー島、
カリブ海のバミューダ諸島、バハマ、バージン諸島、ケイマン諸島、
中近東ではドバイ(アラブ首長国連邦)やバーレーン、
東南アジアでは香港、シンガポールが挙げられる。

そのほとんどは国土の狭い小国
または国に準じる地域である。

要は海外の企業がタックスヘイブンに
法人を設立すると法人税が免除されるか、
とても低くなるので手取りの利益収入が増えるのである。

例えば日本では
現在法人税の実効税率は30%程度。

10億円の利益を挙げれば
3億円程度の法人税を支払い、
手元に残るのは約7億円になる。

香港の場合は
法人税が16.5%なので、
同じ利益を挙げても
8億3,500万円が残るのである。

同じ利益が
挙げられるのであれば、
香港に法人を設立して
営業した方が明らかに得である。

香港は税率が低くても
まだ法人税はかかるが、
タックスヘイブンの中には
法人税をゼロにしているところもある。

英領バージン諸島などは
地域外で挙げた利益に対しては
法人税がかからないので
10億円の利益をバージン諸島と
まったく関係のない地域で獲得したら
それをまるまる自分のものにできるのだ。

「でも、法人税をゼロにすると
政府の収入もなくなるので意味がないのでは?」

という疑問も当然出てくる。

実はその答えも極めて簡単だ。

法人税が
かからないということは
上記のように進出する企業にとっては
とてもメリットが大きいので
節税をしたい世界の優良企業が
こぞってタックスヘイブンに法人を
設立して進出してくることになる。

法人を設立すれば
ある程度の事務が発生するため
秘書・事務員の雇用や
様々な手続きに付随する
手数料収入が発生するのだ。

そうした
費用のひとつひとつは
たいした金額ではないが、
それが数万社、数十万社に及ぶと
それなりの収入になる。

自国内に産業のない
小国にとっては
この収入が非常に
ありがたいものなのだ。

この「パナマ文書」によって
いろいろなメディアで踊っているが

「税金逃れ」

という文字である。

俎上に上っているのが
租税回避地なので
税金逃れであることは間違いない。

ただ、その税金逃れが
即違法なのかというとそうではない。

税制の細部は各国違うが、
タックスヘイブンの利用自体は
そもそも非合法ではないのだ。

例えば、
A国からの輸入で
利益を挙げている
日本の会社があるとする。

その会社が
香港に法人を設立して
もともとおこなっていた
2国間の貿易の中に香港法人を入れて、
A国から香港法人へ輸出し、
香港法人から日本の本社に
再度輸出するという3国間貿易に切り替える。

そして本来の利益の
一部を香港法人に留保する。

それまですべてを
日本で計上していた利益の半分を
香港に計上するとしたら
その部分だけ日本と香港の法人税の
差額が節税できるのである。

その行動は
ビジネスを営む者として
合理的なものであり、
違法性はない。

ただ、
それは日本の政府にとっては
税収が減ることになるので
面白くないのである。

だから
タックスヘイブンに
落とす利益の上限はここまで、
などというような法律を作って
その行動に制限をかけたりする。

それも政府の自由である。

実際に多くの国では

「タックスヘイブンを利用してはいけない」

という規定はない。

実際漏パナマ文書の情報は
基本合法的なものばかりである。

パナマ文書が騒がれてる背景には
国民から税金を徴収して
それを国家の発展のために役立てる
という使命を持った指導者が
実はタックスヘイブンを通じて
大きな節税をしていたという道義的問題、
あるいはそれに対する嫉妬やカタルシス
という感情的な問題が大きい、と私は思う。

一方ではそうした
タックスヘイブンは主要国と
租税条約が結ばれておらず
情報公開の義務がないところも多いので
いろいろな活動の余地があるのも事実。

今回はハッカーが
情報を盗んでリークしたが、
そんなことでもなければ我々には
知り得ないことだったろう。

そうした守秘性が
マネーロンダリングや
テロなど反社会的行為に
使われているという人道上の問題もある。

人間が作る法律には
まだまだ不備な部分があり、
合法だから良い、ということにもならない。

タックスヘイブンに
関してはその

「合法だから良いわけではない」

という範囲を
人類の叡智により
将来つぶしてゆく作業になるのだろう。

世界の権力者の名前が
連なっていたということで、
タックスヘイブンはそうした
特権階級が自分たちのために
わざと残している余地でも
あるかもしれない。

タックスヘイブンを
利用してメリットのある権力者は
それを維持して使いたいと思うだろうし、

タックスヘイブンから
生まれるデメリットが困る権力者は
それを叩き潰したいと考えるだろうし、

正義感からか技術の探求心か
あるいは何かの権力を背景にしてかは
わからないが今後もハッカーは
機密の公開を通じて
既存の権益に挑戦し続けるだろうし、

庶民はこうした
事実を知って反発し、騒ぎ、
ときには特権者の力を
奪うことにもなるだろう。

いろんな力が
せめぎ合いながら状況は変化し、
旧来のノウハウが使えなくなる一方で
また新しいものが作られてゆく。

個人としてはその変化に対処し、
生き残ってゆかなければならない。

溢れかえる
新しい知識や情報を
自分一人で吸収するのは困難。

新しく良質な情報が
自分のところに流れてくる
システムの中に身を置くことが
今何よりも大切なように思えるのだ。

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投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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