ベルリンはその数奇な運命から
欧州で随一、世界でも第4位の
経済力を誇るドイツの首都であるという
世界的なプレゼンスにもかかわらず
非常に遅れた状態からの再建中であり
不動産価格がまだ低い状態に留め置かれている。
同じヨーロッパ諸国の
中心都市として経済規模的には
より小さいイギリスのロンドンや
フランスのパリなどと比較しても
まだ3割から4割程度の価格帯に
あるというのは驚愕に値する。
ドイツにはもうひとつ、
「ユーロ圏の盟主」
という顔がある。
これが現時点で
国家としてのドイツの力を
大きなものにしている。
言うまでもなく
ユーロ(EUR)は
欧州19カ国人口3億2600万人の
ユーロ圏と呼ばれる地域で
通用している統一通貨だ。
地続きの狭い地域に
多くの国がひしめいている
ヨーロッパにおいては
電車で一時間も走れば国境を
またいでしまうというのはザラである。
その度に通用する
お金が変わるというのは不便であり、
他にもいろいろと存在する
不都合を払拭するために導入された
ユーロの為替レートはその性質上
ざっくりと加盟国の経済力の
平均的なところに落ち着くようになっている。
つまりユーロ圏内において
比較的の経済力の弱い南ヨーロッパの
諸国にとっては割高のレートとなり、
域内で圧倒的な産業競争力を誇っている
ドイツにとっては割安の
レートということになるのだ。
輸出競争力がついて
大きな貿易黒字を記録するようになると
通貨の為替レートが高くなって
競争力を失うことになる。
これはかつて
アメリカや日本でも起こり、
いま中国がそれに苦しんでいる。
ところが
ドイツの場合は
別の国が足を引っ張って
為替安となっているので
輸出でいくら儲けてもそれが原因で
自国で使っている通貨ユーロが
高くなるということにはなりにくい。
これが良いことか
どうかは別にしても
ドイツは欧州においての影響力を増して
ますます重要な立ち位置を
獲得してゆくことになるだろう。
ちなみにユーロを
発行しているのは加盟国が
出資して運営されている
欧州中央銀行(ECB)だが、
その出資額がもっとも多いのはドイツである。
ECBはドイツ連邦銀行の
組織を踏襲しているといわれ、
本部もフランクフルトにあり、
すでにユーロ圏においてドイツが
大きな影響力を持っているのは公然の事実。
そんな国の中心都市の
不動産がこれほどまでに
安価な状態にあるというのは
今一度ここでしっかりと把握しておきたい。