線の旅。アメリカ横断、北上(4)

ブルーリッジ山脈の名残りだろうか、
アトランタより東に進むほどに緑が豊になる。

サウスカロライナ州を横断すると
灰色の砂浜の向こうに海が開けた。

大西洋に到達。

ロサンゼルスを出発して6日目、
だだっ広い土地ばかりを走ってきて
少々疲れ気味だった身体は海風を浴びると
再びエネルギーが湧いて甦った。

ここから北上することになる。

本当はもっと海沿いの道で
右側に大西洋を感じながら走りたかったが
プライベートビーチが多く別荘に視界を
遮られてなかなか海が見えない。

良い場所は
白人の富裕層に占拠されているようだ。

両脇に並木が並んでいる
ハイウェイをひた走る。

ノースカロライナを縦断、
ロードサイドのモーテルに宿泊、
隣接しているバーガーキングで
テイクアウトする夕食にも飽きてきた。

にわかに訪れた強い風雨の中、
眠りについたことが印象深いバージニアの夜。

140728Virginia

メリーランド州ボルチモア。

ここで懐かしい人を訪ねる。

1995〜1996年、
上海の復旦大学で
毎週僕に中国語を教えてくれた
友人の女性がボルティモアの
ジョンズ・ホプキンス大学で
生物学の博士課程にいるのだ。

父母ともに復旦大学の教授という
学術系のサラブレッドだが身長175cm、
体重40kg台というモデル体型の彼女に
案内してもらってワシントンDCでデート。

フィラデルフィアを過ぎると、
いよいよ今回の最終目的地であるニューヨーク。

町中のホテルに泊まって
マンハッタンの夜景を眺めながら、
旅の完了を祝う一杯をやろう、
などと考えていたとき何か突起に乗り上げた。

嫌な予感が襲う。

しばらく走って、
時折横滑りするような感覚があることで
その予感が的中したことを認識した。

5000キロを走ってきて、
ゴールの手前でのパンクしたのは
ある意味不幸中の幸いだったかもしれない。

140728masa

マンハッタンは断念して
そのまま20km走り、翌日帰りの便に乗る
ジョンFケネディ空港のAVIS営業所まで
行くことにした。

「タイヤのことは黙っとけ」

レンタカーを返却する営業所。

映画「グリーンマイル」に
出てきたような身体の大きな
黒人の整備士の低い声。

「言えば60ドル取られるからよ。
俺が直しておいてやるから、そのまま帰れ」

振り返りもせずに言う彼の背中に
一礼をして僕のアメリカの旅は終わった。

海外資産運用メールマガジン【国境なき投資戦略】

投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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