ネッティング(相殺勘定)の凄まじい金融効果

企業会計の決済方法に

「ネッティング(相殺勘定)」

という手法がある。

企業間などで取引を行う場合、
取引のたびに決済を行うのではなく、
ある一定の期日に債券と債務をまとめて相殺し、
差額分だけを決済すること。

取り引きのたびに決済を行うと
為替手数料などが発生するが、
ネッティングを行うことでコストを削減できる。
(出典:コトバンク)

A銀行とB銀行があるとする。

今日はA銀行からB銀行へ
1000万円の送金があり、
B銀行からA銀行へは
900万円の送金があった。

本来であれば
A銀行からB銀行へ
1000万円を現金輸送車で運び、
B銀行からA銀行へは900万円を
積んだ現金輸送車を走らせるところである。

だが、
これはいささか不合理だ。

この送金を相殺して
差し引き100万円を
A銀行からB銀行へ運べば
現金輸送車は片道で済む。

運転手、ガードマンの人件費や
ガソリン代などが半分になる。

だが、
たった100万円を運ぶのに
現金輸送車を手配するのはまだもったいないので
ある程度の金額が貯まるまで繰り越すことにする。

A銀行とB銀行の間には
毎日お金にやり取りがあるので
それを毎回相殺していって
例えば5,000万円ぐらいの差額が
どちらかに貯まったときに
現金を運ぶことにすると効率が良いし、
コストの節約になる。

これが
ネッティング(相殺勘定)の
基本概念である。

このネッティングが
フランチャイズ(FC)のシステムに
大きな金融メリットをもたらすのである。

例えば
コンビニエンスストアのFCの場合、
加盟店の売上はある一定の決められた
経費を除いて毎日本部に上納される。

本部は全国の加盟店から
送られてきた売上金を一旦預かって
仕入先への商品代金の代理払いなどをおこなう。

そうして残った利益のうち
加盟店が支払うロイヤリティを取って、
残りを分配金として加盟店に支払うのである。

加盟店からの売上金が
毎日送金されてくる一方で
大手のコンビニチェーンの場合
仕入先への支払いサイトが
120日ぐらいあることも珍しくはない。

つまり全国の加盟店から
挙がってくる莫大な売上を本部は
かなり長期間にわたって銀行口座に
キープできるということである。

その利息だけでも夥(おびただ)しい。

だが、
それ以上の金融効果が
FC本部には加盟店との間の
ネッティング(相殺勘定)の
仕組みの中に存在する。

FC本部が毎日加盟店より
挙がってくる売上から
商品の仕入代金や経費を引いた上で
自らの収入となるロイヤリティを徴収して
加盟店に分配金として戻す。

そして
加盟店はその中から人件費や営業経費を
支払って残ったものが自分の収入になる。

この仕組みをオープンアカウントという。

オープンアカウントでは
常に本部と加盟店の間に
お金の行き来があるわけだが、
それをネッティング(相殺勘定)
処理しているのである。

加盟店側から見れば
先に売上金を毎日本部に送金して、
たまに本部から分配金が入金する、
というイメージになる。

ビジネスをやっている人なら
すぐにわかると思うが、
こうしたことを繰り返していると
出金と入金のタイミングのズレから
加盟店側の資金がショートしてしまうことがある。

なので本部は
実際の分配金の金額にかかわらず、
決まった日に一定金額を加盟店に
支払うということをおこなっている。

そうすることにより
加盟店側では人件費、営業経費の
支払いに関する資金計画が
立てやすくなるのである。

ところで加盟店の売上や
受け取る実質の分配金は当然毎月変動する。

本部から受け取る
一定金額よりも多いときもあれば、
少ないときもあるわけだ。

受け取る一定金額より
分配金の方が多いときは、
相殺勘定上加盟店の貸越し状態に
なるのでこれは問題ない。

しかし、
本部から支払われる
一定金額が実際の分配金より
多くなってしまう場合、
逆に加盟店の借越し状態に
なってしまうのである。

この借越し状態が
発生したときFC本部は
◯◯を徴収するのである。

この◯◯がある
コンビニエンスストアチェーンでは
年5%から6%程度になるようである。

逆に加盟店側の
貸越し状態(本部の借越し状態)
のときに本部が加盟店に
◯◯を支払うことはない。

一方、
これが実際の金銭の
やりとりをすることなく
帳簿上の相殺勘定で行われているので
加盟店側には自分が借金をしている、
そして◯◯を支払っているという
自覚が薄くなる。

さらにFC本部が
加盟店への貸越したお金は
真っ先に翌月の売上金の中から
返済を受けることができるようになっている。

加盟店側での
売上改善しないと
その後すぐにまた自動融資が
かかることになるので
本部は毎月貸し換えをしながら
ずっと◯◯収入を得ることも可能になる。

FC本部側はまさに
◯◯◯で資金調達をして
無感覚の自動融資で高額の
◯◯収入を得ることになるのだ。

このシステムは
あまりにもFC本部側に有利なため、
平成14年に中小小売商業振興法で
本部側に情報の開示が義務付けられた。

逆に言えば、
不公平なために開示が義務付けられたものの
この手法は依然健在だということである。

上記の内容は
私が昨年加入した

「藤原塾」

学んだことである。

正直、
お金を稼ぐ方法の分類について
最近よくわからなくなっている。

まず商品やサービスなど
何かの価値を提供することにより
対価を得る、

「ビジネス」

がある。

会社員も自分の
労働力(サービス)を提供して
給料という対価を得る、
いわばビジネスである。

そして
株式とか不動産とか
価値のの上下するものを
売買することにより利益を得る、

「投資」

がある。

多くの人はこのどちらか、
あるいは両方を行って収入を得ているはず。

私自身、
少し前までお金を稼ぐ方法は必ず

「ビジネス」と「投資」

のどちらかに分類できると思っていた。

であるならば、
本文で述べたような活動は
何なのだろうか?

価値の対価を
受け取るビジネスも
価値の変動するものを
売買する投資もしっくりこない。

分類の難しい第三の方法?

今わかるのは、
金融の世界というのは
底知れない奥深さがある、
ということだけである。

海外資産運用メールマガジン【国境なき投資戦略】

投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

お名前(姓)
お名前(名)
Eメール

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

海外資産運用メールマガジン【国境なき投資戦略】

投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

お名前(姓)
お名前(名)
Eメール