年長者受難の時代?(2)

情報テクノロジーの発達、
インターネットの爆発的普及。

そのときを境にして
年長者の威光に対する翳りが
はっきりしてきた。

それは年長者も若年層も
ほぼ同等の情報を手にできるように
なったからだと僕は考えている。

以前は世代から世代へ、上から下へ、
口頭や書物でしか伝わらなかった情報に
老若男女の多くが同時にアクセスできるようになった。

口頭や活字メディア、
またはラジオ、テレビなどの
放送メディアの辺りまでは
個人や政府の都合で情報の出し方を
制御することができた。

出したい情報を出し、
出したくない情報は隠す
ということが可能だった。

それは発信できる人が
ある程度限られていたからだろう。

インターネットの普及によって
誰もが発信できるようになった。

すると情報の発信が
コントロールしにくくなった。

なぜなら自分が
出したくないと考えて隠しておいても、
そうは考えない他の誰かが発信してしまうからだ。

同じ情報に
アクセスできる立場にあれば、
その情報を上手く活用できる人間が
良い結果を獲得することができる。

そこに老若男女の差はない。

そんな時代、
日本ではある種の
フラストレーションを抱えている
年長者は少なくないだろう。

「国家や主君に忠を尽くし、親や祖先に孝を尽くし、目上の人物に礼を尽くし、配下や民衆に仁を尽くす」

という
儒教的価値観を伝統として
持っていたうえに旧来の情報伝承システムの中で
日本人の年長者は年下の者に敬意を払われていた。

自分たちもその伝統に従って
目上の人に敬意を払ってきたのに、
自分たちが敬意を払われる時期へ来て
急激にその習慣が無くなってきた。

しかしこれは歴史の必然。

誰もがそれを受け入れて
対処してゆかねばならないことだ。

その上でやはり年長者はオイシイのだ。

それは年長者の方がより自由だからだ。

いや自由だった、
というのが正しいかもしれない。

自由は誰でも好きである。

だが人間社会が成熟してゆくと
必ず管理システムが整備され
自由は制限されてゆくものだ。

その自由が
制限される前の時代を過ごした者は
それを思う存分やることができたわけだ。

例えば、
良いか悪いかは別にして
今日本では喫煙スペースが
どんどん限られてきている。

タバコを吸う人にとっては
非常に肩身の狭い時代。

以前はどこででも
タバコを吸うことができた。

つまり年長の喫煙者は
若い喫煙者よりずっと自由に
タバコを吸うことができた時代の
豊かな記憶を持っている。

そしてそれはあらゆることに
同じことが言えるのである。

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年長者受難の時代?(2)」への2件のフィードバック

  1. 松下寛英

    年長者のアドバンテージは未だ健在です。

    若年者に優秀な人材がいることは認めます。大戦中の戦闘や行政の中に置いてもその能力と責任感から素晴らしい功績を残した若年の先人の記録は自衛隊幹部候補生学校でも沢山教わりました

    しかしながらその陰には常に年配の古参下士官のサポートがありました。個体差は顕著でありますが、軽んじる者はその栄華を手にすることはできません。

    秘密はその応用力にあります。その脳味噌に蓄えられたデータの多さ、経験は若年者には追随できようが無いからです。
    伝説の若年功労者達は存在してその能力も疑いようがない確かなものと信じます、しかしその能力に人心掌握術、年配者への配慮があり、それ無くして先天的な能力の発揮はあり得なかったという事です。
    彼らは儒教的なルールをレスペクトして年配古参の知恵にアクセスしていたのです。

    返信
    1. blogadmin 投稿作成者

      確かに年長者が蓄積した経験と知恵、そのうちネット上などで公開されることなく、意識するしないに関わらず本人が墓までもってゆくようなものは今でも口承でしか伝えることができませんね

      返信

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