サービス力で大繁盛の火鍋レストランin上海

18:00PM。

エレベーターを下りた瞬間、
違和感に包まれた。

商業ビルの
6Fにあるそのフロアには
3店舗のレストランが入居しているが、
エレベーターホールから
すべての通路がテーブルと椅子、
そしてそこに座る家族連れやカップルで
埋め尽くされている。

テーブルの上には
お茶とスナックが盛られたトレイ、
そして囲碁やバックギャモンなどのゲームが置かれ、
人々はそれで遊んだり、談笑したりしている。

一見、
ビルの吹き抜けの周囲で
営業しているカフェか何かと見紛う。

「海底撈火鍋」

http://www.gudumami.cn/jp/sn/cs08430/

がそのレストランの名前。

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テーブル群の
脇を通り過ぎて
接客カウンターまで行き、
整理番号を受け取る。

30組待ち所要時間約1時間、
と聞いて改めて通路中に並んだテーブルが
レストランに入る順番を待っている人たちの
行列だということを認識する。

飲み物とつまみと
ゲームを準備して
お客さんが待っている間に
退屈しないようにしているのだ。

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それにしても
夕食の時間としては少し早めの
18:00にすでにこの行列である。

単純に

「凄いな。。」

と思いながら
ぼんやり見回していると
あとからどんどん人がやってくる。

しまいには入店待ちの
テーブルさえ埋め尽くされ、
立って待っている人もいる。

状況が飲み込め、
改めて細かいところを見ると
接客カウンターの脇には
昔懐かしい綿菓子の機械があり、
店員が綿菓子を作っては子供客に配っている。

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綿菓子を持った子供が
駆けて行く先には壁に埋め込んだ
大型のモニターが3つ並んでいる。

そのモニターには
お絵かきソフトやクイズや
パズルゲームなどが入っているようで
子供が群がっている。

順番待ち客の
大人だけでなく
子供にもこれだけの
配慮をしている店は珍しい。

接客カウンターの後ろには
何故かネイルサロンがある。

img_9503

客待ちの多い
レストランの客を当て込んだ
サロンかと思いきや
なんとそれも待ち客サービスのひとつで
店所属のネイリストが
若い女性客にマニキュアを施している。

サービスはもちろん無料。

そこまでやるか、
と目を凝らすと使っている人はいなかったが
ソファとその対面に靴磨きの台も置いてあった。

しかし
流石に長い待ち時間、
連れと五目並べに興じていると
抽選箱と賞品を積んだワゴンを持った店員が
ハイテンションで声をかけてきた。

待ち客の1テーブルごとに
1回抽選のくじ引きを
引くことができるという。

ワゴン上を見ると
特等が赤ワインのようだ、
他にはカクテルドリンクのボトルや
ぬいぐるみなど子供のおもちゃが積んである。

我々のグループの
抽選の結果は11.11元の割引券だった、
11月11日に何かの由来があるのだろうか、、
とふと考える。

しばらくして今度は突然音楽が鳴り響く。

レストランの入り口で
四川省の伝統芸能「変臉」が始まった。

役者が剣舞を舞いながら、
お面が次々に変わってゆくという
なかなかおもしろい芸だ。

このときは多くの待ち客が
集まって写真やビデオを撮影したり、
拍手喝采したりで盛り上がる。

店に入って席に案内される途中、
すれ違う店員数人がにこやかに

「大変お待たせして申し訳ありませんでした」

と声をかけてくる。

店員はよく教育されていて、
入店待ちしているときにあちこち
観察していると積極的に

「どうしたのですか?何かお探しですか?」

と声をかけてきていた。

鍋料理としては一般的の味、
というか火鍋は本来あまり味で
差をつけることが難しい料理でもあるように思える。
(というか、どこも美味い)

しかし火鍋という外食形態は
調理を客に委ねるので腕の立つ
料理人などを雇う必要もないだろう。

野菜や肉などの素材を
バサバサ切ってテーブルに
持ってゆけば良いだけである。

コストが安いので開店は容易だろう。

逆を言えば
差別化できるのは催しをやったり
サービスの質を向上させることぐらいである。

以前から舞台で歌手が
熱唱する火鍋屋はよくあった。

海底撈は後者を
徹底的に高めたようである。

トイレに行くときに
掃除をしている店員と接触した。

するとその店員は満面の笑みで

「申し訳ございません」

とポケットから
名刺のようなものを出して差し出した。

”店員の名刺ももらってもしょうがないがな。。”

と思いながら席について
その名刺大のカードをよく見ると
30元割引券と書いてある。

ちょっとした粗相で30元の割引。

次回の来店で
しか使えない割引だろうな、、
と思いながら精算時に一応訊いてみると
即日で割引券が使えることがわかって少し驚く。

そして最後に店員が
我々グループの中で一番年上の妻の父に対して

「こちらはお父さんに贈り物です」

と袋を渡していた。

中には肩たたき用の
スティックと孫の手が入っている。

店員は終始先を争って
サービスに奔走するという具合だ。

教育が行き届いていることももちろんだが、
パフォーマンス評価と給与へのインセンティブも
しっかりしているのだろうと想像できる。

ファンやリピーターが
増えつづけそうだと充分に頷ける。

大人5人、子供1人で
合計520元(約7,800円)の料金は
リーズナブル。

さらに抽選と粗相の割引が
42.11元が引かれて精算金額約480元。

中国のサービスレベルは低い、
というのはこれまでの一般通念だが、
こんな店も出てきているということは
知っておいても良いだろう。

店を出たのは21:00。

外ではまだ入店待ちの行列が続いていた。

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