中国人の海外不動産投資を分解してみる(2)

2005年以降、
香港の不動産が急激に上昇したが
原因のほとんどは投資移民による
移住の機会を求めた本土の中国人の買いである。

その影響で香港で
生まれ育った普通の香港人が
買えないような価格になってしまった。

昨年の大規模なデモの原因は
こうした部分への不満が爆発した
影響が小さくないと言われている。

オーストラリアでは
500万豪ドル(約4億5000万円※)以上を
4年続けて投資すれば永住権を獲得できる

「上級投資家ビザ (SIV- Siginificant Investor Visa)」

という制度を2012年に作った。

※1豪ドル=約90円(2015年4月時点)

合計18億円にも上る
投資移民プログラムの利用者のうち
90%以上が中国人だという。

そうした巨額の資金を
投資しなければならないとなると
単価の大きい不動産に
向かってしまうのは必至だ。

かくして、
シドニーやメルボルン、
ブリスベンなどという大都市の
不動産価格は過去数年の間に
高騰したのである。

その他にも
50万ユーロ(約6,500万円※)で
不動産を購入すれば居住権を得られ、
6年後には国籍取得も可能なポルトガルをはじめ、
スペインやギリシャ、ブルガリアなど
財政問題に苦しむ国々も数千万円程度での
投資移民プログラムを用意している。

※1ユーロ=約130円(2015年4月時点)

中国人が
海外不動産投資に躍起になるのは
伝統的な政府への不信感だけではなく、
直近の中国経済の減速や
バブル崩壊に対する不安を払拭するための
海外への資産の移転、

土地を自分名義で
所有できることについての羨望
(中国では不動産の保有はできず、
70年の借地・借家権のような形である)、
過去20年の中国国内の
不動産の高騰による極端な
利回りの低下や新たな取得の制限なども大きい。

そこに日本の通貨安と
景気回復とオリンピック開催による
不動産の上昇機運が訪れ、
中国人の不動産投資の矛先が
日本に移ってきたというところだろう。

ちなみに
先に挙げた国々と
日本との間には大きな違いがある。

それは日本では
土地・不動産の取得が移住と
直結しないことだ。

居住権が手に入る、
という中国人にとっては
大きなメリットがない分、
単純な所有欲を別にすれば
日本の不動産 投資はより純粋に
インカムゲインやキャピタルゲインなどの
投資収益を求めてゆくことに
なるのではないかと思う。

海外資産運用メールマガジン【国境なき投資戦略】

投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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