ドサ回りアジア、香港勤務時代(2)

香港勤務中の2003年。

「SARS(重症急性呼吸器症候群)」

なる、謎の病気が流行った。

特に香港での猛威は凄まじく、
約300人の人がSARSで亡くなった。

毎日どこかで
この病気による死者が発生する状況。

集合住宅の1ブロックで
短期間で一気に数十人の
感染者が出るようなこともあり、
まさにアウトブレイクと呼ぶに
相応しい状態だった。

原因は今に至るまで
まだはっきりしない部分があるらしい。

もちろん当時は
何が何だかさっぱりわからない。

感染者が出ればとりあえず隔離治療。

飛沫感染をするというので、
いつどこでSARSになってもおかしくない。

医療関係者にも死者が出る始末。

もし自分の住むマンションで
感染者が出たら1週間は出勤しなくて良い、
という通達まで出た。

ところが
現地で暮らしている我々よりも
ずっと敏感に反応していたのが
日本であった。

当時ちょうど
業界の一大イベントである
展示会が開催されており、
我々はアジアの顧客を伴って
日本を訪問したのだが、
香港勤務のスタッフは
展示会場には入れてもらえない。

本社にも入れてもらえず、
別に用意された待機場所に隔離されて
打ち合わせがあるときは相手のスタッフが
本社からそこに来るとという始末。

隔離部屋に現れた
打ち合わせの相手はマスクで完全防護。

空港での検疫も通って、
身体にもまったく異常がないにもかかわらず
香港から来た我々はまるでばい菌扱い。

念には念を入れて。
疑わしきはシャットアウト。
触らぬ神に祟りなし。

気持ちは分かるが
会社の命令で香港に派遣されている
我々としては気持ちの良い扱いではない。

こういうのを風評被害と言うのだろう。

香港勤務者は特別危険手当として
HKD10,000(当時約17万円)が支給されたのが
唯一の良い思い出だ。

しかしあれだけ騒がれたSARS。

後にも先にもあの年しか発生していない。

不思議なことである。

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投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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