海外で発生した利息収入を確定申告する

1 確定申告の概要

所得税の確定申告は、
毎年1月1日から12月31日までの
1年間に生じた所得の金額と
それに対する所得税の額を計算し、
源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には
その過不足を精算する手続です。

2 確定申告をする必要のある人

その年分の所得金額の合計額が
所得控除の合計額を超える場合で、
その超える額に対する税額が、
配当控除額と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、
原則として確定申告をしなければなりません。

しかし、給与の収入金額が2,000万円以下で、
かつ、1か所から給与等の支払を受けており、
その給与の全部について源泉徴収される人で
給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等、
一定の場合には確定申告をしなくてもよいことになっています。(一部抜粋)

(国税庁ホームページより引用)

後段部分の確定申告を
かかる人たちが一般的に

「サラリーマン」あるいは「公務員」

ということになる

新卒以来ずっと勤めていた公務員を
2年前に退職して自営業者となったスタッフNは
今年2回目の確定申告に臨んだ。

彼女は今年の
確定申告で新たな収入を
申告することになった。

海外の金融機関における

「利息収入」

である。

2015年に
HSBC香港を開設したとき
同時に預け入れをおこなった
オーストラリアドルと
ニュージーランドドルの定期預金が
2016年に満期を迎えて
利息が支払われたからだ。

日本の金融機関での
預金より生じる利息収入からは
源泉徴収が行われ申告は不要な場合が多い。

しかしながら
外国で得た利息収入は
日本の政府が源泉徴収できるわけではないので
原則自分で申告して納税をする必要があるのだ。

個人の状況により
申告が不要な人もいるので
自分の状況を把握したい方は
税の専門家である税理士に相談してほしい。

スタッフNは
確定申告が必要であったため
通貨をどのように日本円に換算して計上するか等々、
昨年の確定申告の際に相談会場にて
担当の税理士に確認していたという。

その時にもらった回答が
利息収入があった日における
メイン銀行の為替レートを使って
日本円に換算するということだった。

そして今年、
2016年分の確定申告を行うにあたり
先の税理士の言葉を基に
この根拠がどこにあるのかを
インターネットで確認することにした。

スタッフNは
長年公務員として働いていたからか
しっかりと根拠を確認して、
コンプライアンスを遵守して作業を進めるタイプ。

会社の業務でも同様に
周到に下調べをおこなったうえで
仕事をしてくれるのでとても安心である。

それはさておき
実際は海外での利息収入の
細かい計算の仕方とその根拠は
なかなか検索でヒットしなかったという。

”海外の利息収入を申告する
というケースは少ないのだろうか?”

と不安を感じはじめた頃、
なんとか該当箇所の見つけることができた。

「所得税法基本通達」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/01.htm

この中で
第4款の2 外貨建取引の換算
法第57条の3《外貨建取引の換算》関係
57の3―1(いわゆる外貨建て円払いの取引)
57の3―2(外貨建取引の円換算)

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/11a/01.htm

「電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、
原則として、その者の主たる取引金融機関のものによることとする」(抜粋)

と書かれていた。

これに基づいて、
スタッフNは取引金融機関のサイトから
収入が入った日の為替レートを確認して、
日本円換算の利息金額を計算した。

ちなみに利息の
入った日のうちの一日は
日本の市場が休日に当たっていた。

その際の
為替レートの採用方法の
記載もそこにあった。

「当該日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場による。」(抜粋)

スタッフNは
大阪市役所に在職中
市税を担当していたこともあり
この通達はよく見ていたが、
これを退職後の自分に関わってくるとは、、

と妙な感慨だったという。

ちなみに、
海外の金融機関で預金など
金融取引を行った場合
現地で源泉徴収などをされていると
税の計算は複雑化するという。

しかしながら
香港では利息、配当、
キャピタルゲインなどの
投資収入に関しては無税であるため
確定申告の際にその煩わしさはない。

そのことに
気づいたスタッフNは
海外のメインバンクを
HSBC香港にしておいてよかった、
と改めて感じたという。

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