パリ同様、ベルリンは昨年、
ロンドンに続く2番目に活発な不動産の
マーケットだったと言えるだろう。
2014年第4四半期から
2015年第3四半期までの1年で
約100億ユーロの物件が取引されている。
今やドイツの不動産市場に
投資される金額のうち20%が
ベルリンに投資されているという状況である。
その理由は何と言っても
継続的な人口流入があり、
力強く多様性に富んだ経済を備えている割には
ロンドンやニューヨークといった成熟都市に
比べて物件価格が割安なことだろう。
これが2015年年間を通して
ベルリンの物件価格は平均して10.1%、
全市場を通じた平均の賃貸価格が
5.1%の上昇した背景となっている。
2014年には44,742人が
新住民として加わったベルリンの人口は
2030年までに7.2%増加すると見込まれている。
2015年と2016年に
ドイツに流入した大量の難民も
この街の人口増加を助長した。
一方で住宅の供給は
人口の増加に大きく遅れをとっている。
2014年には年間5,208戸の
供給があった新築アパートだが
2010年以降の増加率はわずか1.3%、
ベルリンの人口1,000人あたりの
新築アパートの供給数は1.5にとどまっている。
これは同比率が2.5%から4.5%に
達しているドイツの他の6都市
(デュッセルドルフ、フランクフルト、
ハンブルグ、ケルン、ミュンヘン、シュトゥットガルト)
に遥かに及ばない。
ベルリンにおける
住宅供給は2016年に改善し、
約12,000戸の供給となったが
それでも今後年間15,000から20,000と
見積もられている需要にはまだまだ足りない。
新住民が次々と流入を
続けている現在では
20,000戸の需要増加でさえ
保守的な見込みだという見方もある。
ベルリンの不動産市場の
大きな特徴として賃貸偏重型の
都市であるというものがある。
持ち家比率はわずか15%で
27年前のベルリンの壁崩壊の時代の10%より
わずかに増えただけである。
しかし
今後は持ち家志向の人が
急速に増える傾向が見えている。
これはベルリンの賃貸市場が
依然として安定して高い利回りを保持する一方で
将来物件を売却するときにも強い需要が見込めるとことである。
12を数える
ベルリン市内の行政区において
ミッテ(Mitte)は最も投資の
集まっている熱い地域である。
ベルリン中心部に位置し、
過去10年において並行して
おこなわれている大規模な新開発、
再開発はこの地区を最高級の居住エリアに変えた。
アパートの価格は
2015年に28.1%の上昇、
コンドミニアム(分譲マンション)の価格は
ベルリン都市部全体の平均には若干及ばないものの
7.6%の上昇を記録している一方で賃貸需要は7%増加している。
ミッテの人気と
継続した価格上昇は付近の行政区にも
波及効果をもたらしている。
フリードリッヒシャイン-クロイツベルグ区
(Friedrichshain-Kreuzberg)のフリードリッヒシャインは
ベルリンでももっとも早く市場が活性化した地域であるが
その活況は今も続いている。
この地区のアパートの価格は
2015年に15.8%、コンドミニアム価格は10.2%の上昇、
賃貸需要は5.9%増加した。
フリードリッヒシャイン-クロイツベルグの
南で境界に接するニューケルン(Newkolln)は
流行の最先端的イメージが定着したが故に割高感も出てきている
フリードリッヒシャイン-クロイツベルグにほど近いという地の利から
近年人気が高まっている地域で今後数年力強い成長が期待できる地域である。
この地域の魅力は
クロイツベルグの上品さと
ニューケルンの緑豊かな郊外の雰囲気が
融合したところである。
リチャードキーツ(Richardkiez)は
それをもっとも明確に体現している場所だろう。
それでいて現在はまだ
非常に手頃な価格帯にあるこの地区は
今もっとも投資に適した場所といえるかもしれない。
フリードリッヒシャインに
アクセスの良い新興の東部地区では
西部地区とは違い成長余地の大きな地域として
リヒテンベルグ(Lichtenberg)が注目される。
リヒテンベルグは
17.7%というベルリンでは
2番目に低い住居費比率でありながら
3番目に高い賃貸需要の伸びが認められ
将来の高級化の予兆が伺える。
CBREによれば
この地域の人口は2030年までに
7.6%増加すると見込まれており、
これはベルリン全体の人口増加予測の7.2%より高い。
リヒテンベルグの賃貸価格は
市内の平均中間値より低いので、
手頃な価格を求めるテナントにより
将来の需要が創出されるだろう。