スイスフラン(CHF)の暴騰から見えるもの(2)

金融政策としておこなってきた

「EUR1=CHF1.2」

の上値制限を
スイス国立銀行が撤廃した瞬間、
スイスフランは数時間のうちに

「EUR1=CHF0.8」

まで暴騰してしまった。

これをわかりやすく
米ドルと日本円の関係に例えると、
USD1=JPY120である2015年初現在の
円安と呼ばれている為替レートが
一夜にしてUSD1=JPY80の2012年頃の
超円高とされていた水準に達してしまった、
ということになる。

新興国の通貨ならともかく
国際決済通貨(ハードカレンシー)間で
こういうことが起こるのはほとんど
ありえない。。レベルの話なのだ。

ともあれ、現実にそれが起こった。

このことにより、
数多くの金融機関や個人投資家が
大きな損失を被ったとのいうニュースが
かまびすしい。

どうしてそんな事態になったのか?

スイスフラン(CHF)は
極めて低金利の通貨である。

ということは
スイスフランを借りてきて、
それを他の高金利の通貨に両替して
預金しておけばその通貨とスイスフランの
金利差分(スワップ金利)が儲かることになる。

いわばスイスフランキャリートレード。

通常、
低金利の通貨は為替が上昇しやすく、
高金利の通貨は為替が下落しやすい。

だから低金利通貨の
為替はいずれ上昇して
借りた資金を返済する頃には
その上昇分でその金利の儲けも
消えてしまうことになる。

美味しい話は
そうそうあるものでは無いのだ。

ところがスイスフランの場合、
中央銀行が為替の上限を設定して
上値を無理矢理抑えつけていた。

低金利のうえに
為替の上昇がないということで
多くの機関投資家や個人投資家が
安心してこのキャリートレードを
拡大していたというわけだ。

そこにいきなり中央銀行が
為替レートの上限撤廃すると
発表したわけである。

「借りたスイスフラン売り、他の通貨買い」

のポジションを取っていた投資家が、

「スイスフランが上がる前にさっさと
買い戻して返さないと大変なことになる!」

と我先にスイスフランの買いに
殺到したためにこの暴騰が発生したのだ。

海外資産運用メールマガジン【国境なき投資戦略】

投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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