中国人民元定期預金最大の好機から5年

2010年以降で
人民元の金利がもっとも高くなったのは
2011年7月から翌2012年6月までの11ヶ月間で
そのときの中国銀行の定期預金金利は
1年定期で3.5%、5年定期で5.5%だった。

ちょうど日本円が
1ドル70円台後半から80円台前半を
推移していたときである。

戦後もっとも日本円が高くなったときだ。

対人民元のレートはRMB1=JPY12ぐらいだった。

以前はRMB1=USD8.28で
米ドルに固定されていた人民元。

安すぎる人民元が生んだ
貿易摩擦に業を煮やした米国の圧力により
管理フロート制という一定の変動幅で
米ドルに対する為替変動を許容する
管理変動相場制に転換したのが2005年。

それ以後人民元は上昇を続けた。

一方で中国国内では
インフレが蔓延していた。

一般的にインフレは通貨安と
セットになって発生することが多い。

通貨の為替安により
輸入品の価格が国内で
上昇してゆくことが
国内のインフレを誘発するからだ。

だが当時の中国は
その常識に反して
人民元の為替高とインフレが
同時進行していたのである。

人民元が継続的な
上昇傾向にあっても
2010年代初頭までは
中国はまだまだ安価な商品を
国際社会に供給し続けていたので
経済成長の足取りが確かであり、
それによって潤った中国の庶民による
内需が非常に強かったのである。

固定相場だった2005年まで
国の経済力に対して
人民元をどれだけ低く抑えていたかが
伺える出来事である。

これは1970年代初めの
日本の状況によく似ている。

高度経済成長を経て
東京オリンピックや大阪万博まで
開催するほどの国力を誇った
日本の通貨は1971年まで
USD1=JPY360の固定相場だった。

大阪万博のあった1970年には
日本は世界のGDPランキングで
アメリカ、ソ連に次いで3位になっているので
戦後の荒廃した時代に定められた固定相場が
1971年まで続いたということは
日本円は適正な期間を超えて割安に
留め置かれていたと言えるだろう。

安い日本円を背景に
輸出産業は長期間の好調を
維持したおかげで今の日本の豊かさがある。

1971年の
ニクソンショック(米ドルと金の兌換一時停止)後、
日本円はようやく308円へと切り上げられ
そのご変動相場制に移行してどんどん上昇していった。

だがその円高傾向の一方で
日本国内は狂乱物価と呼ばれる
激しいインフレに見舞われていたのである。

貨幣価値が下がってゆく
インフレを退治するためには
金利を引き上げてお金に付加価値を
つけてあげるのが金融政策のセオリーだ。

そのとき
日本の定期預金の利息は
7%以上になることも珍しくなかった。

固定相場で通貨の価値が
不自然に低く抑えられる期間が長くなると
このようなことが起こるのかもしれない。

通貨上昇中のインフレ進行。

日本で1970年代に
起こっていたことが2005年以降の
中国で起こった形だ。

今から5年ほど前の
冒頭の時期の定期預金金利が
高かった理由である。

固定相場からの脱却という
ある意味特殊な環境から生まれたこの状況。

これは中国非居住者に
とってみれば千載一遇の投資機会だった。

インフレが
進行しているから預金金利も上昇するが、
中国国内で暮らしている人にとってはあまり魅力がない。

なぜかというと
定期預金をして1年後に
3.5%(名目金利)の金利を得られても、
物価が3%上昇していれば差し引きの金利は
わずか0.5%(実質金利)だからである。

ところが中国国内の
物価上昇の影響を受けない外国人
あるいは中国非居住者にとっては
これは高金利をまるまる受け取れるチャンスとなる。

しかも人民元の為替は
当時絶賛上昇中なのである。

外貨を人民元に両替できるのは
1年にUSD50,000相当までという制限があるが
仮に5年前限度額いっぱいの400万円(USD1=JPY80換算)を
中国に持ち込み定期預金を組んだとしたら、、

2011年年末頃の日本円の
対人民元レートをざっくり12円として、

JPY4,000,000=RMB333,333

その預金は満期の今、
27.5%(5.5%X5年)の利息を含んで、

RMB333,333X1.275=RMB425,000

となっている。

これを現在
2016年12月のレート(RMB1=約17円)
で換算すると、

RMB425,000X17=JPY7,225,000

となっている。

捕らぬ。。ではない、
2011年7月から2012年6月までに
この機会を逃さず人民元定期預金を
実行した人にとっては

「捕ったタヌキの皮算用」

となるのである。

投資の中でもっとも
安全な部類に入る定期預金で
これだけのパフォーマンスを
得られる機会は少ない。

利率の高さだけを見れば、
新興国には自国通貨の金利に
10数%から20数%を設定しているところもある。

だがそういう国では
インフレや通貨安が進行している
ところがほとんであるのは既出の通り。

また外貨への
再両替に手間がかかったり、
その預金を引き揚げるときに
困難が伴うという側面があることも
理解しておくべきだろう。

もちろん中国の
人民元にもそのリスクはある。

今でこそ世界での存在感も増し、
主要通貨としてIMFの
SDR(特別引き出し権)入りも果たした人民元だが
5年前は当然まだそんな地位になかった。

中国の通貨当局の管理の下、
両替や持ち出しの制限なども存在する。

上記に述べたの
5年間の利息収入と為替差益による
高パフォーマンスはそのリスクを取った
見返りであると言うことができる。

ただ昨今盛んに
言われている中国経済の減速、
トランプ次期大統領の対中政策、
南シナ海や西太平洋における軍事的野心等々。

今後の動向によっては
中国の政策に変化がある
可能性も考えられる。

安全な定期預金で
これだけのパフォーマンスを
得ることに成功した人たちも
決して安心することなく
こうした動向を中止しながら
素早く臨機応変な対応が必要だ。

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