世の中の政治家や公務員は本当に無能なのか?

「財政赤字や年金などの
国の重大な問題に抜本的な解決策を打ち出せず、
国民に負担ばかり強いるこの国の政治家や官僚は無能。。」

こうした意見や感想をいただくことは多い。

政治は国民生活を良くするためにに行うもの、
公務員は国民の公僕。

そういう「建前」に立ってみれば
そう考えるのは至極当たり前の理屈かもしれない。

が、毎回こうした
意見を受け取るたびに、
僕は正直違和感を覚えるのである。。

「自分は他の人より優位に立ちたい、
豊かでありたい、オイシイ思いをしたい」

これは
人間(ヒト、ホモサピエンス)である
我々にはどうしても捨て去ることのできない感情らしい。

ごく稀にマザーテレサのように
無償の愛を与え続けることのできる
人間も現れるがほとんどの人はそうはならない。

むしろそういう
飽くなき欲があったからこそ
今日(こんにち)まで人類は生き残り、
繁栄を謳歌しているとも言える。

文明が生まれてからの
長い歴史の中で人間は常に

「支配する側」と「支配される側」

に分かれてきた。

人類全体で分かち合う
富や食料が少なかった時代は
貴族と奴隷のように両者が
非常にわかりやすく分かれていた。

支配者層である貴族は
国のほとんどの富を独占し、
被支配者の奴隷は死なない程度に
必要なものを分け与えられて
上級階層に奉仕していたようなかたちだ。

しかし、
天変地異とか気候の変動、
あるいは戦争による混乱などで
食料や富の著しい減少に見舞われると
まず被支配者が食い詰めた。

権力者である貴族が
自分の取り分を減らさずに
全体の富の減少のしわ寄せを
力を持たない被支配者層に
回してしまったからだ。

だが、
生きるか死ぬかの
瀬戸際に立ったら人は暴れる。

「どうせ死ぬなら、今死んでも同じ!」

と、被支配者層の
捨て身の反乱が起こる。

通常は巨大な武力を持った
権力者に鎮圧されてしまうが、
本来支配される側の数の方がずっと多いので
放漫や腐敗などで国が弱体化しているときは
支配者側の方が滅ぼされてしまうこともある。

ローマやトルコなどの大帝国の滅亡、
中国の王朝の交代など人類の歴史は
ほぼそれの繰り返しのみで成立していると
言っても過言ではない。

しかし人類は
こうした経験を何度も
経るうちに知恵をつけてくる。

支配者はいつしか
被支配者を徹底的に搾取して、
生存の危機まで追い詰めると
逆に自分たちの身が危険だということに気づく。

折しも農耕や牧畜の技術が発展して、
産業革命を達成して生産力が増大して、
より多くの人に食べ物やモノがゆきわたるようになった。

現代の権力者は

「庶民が暴れない程度の富を与えて、
それ以外の部分を自分たちでいただこう」

と考えるようになる。

被支配者層の庶民も
自分たちが割をくっていると感じてはいても、
食べ物があってそこそこ楽しい生活を送れていれば
何も生命の危険を冒して革命を起こす必要などない。

現代の支配者層は
社会の安定状態を保ちながら、
大きな痛みを感じない程度に
庶民から富を吸い上げてゆく。

社会福祉に使うとか、
皆の生活に必要なものを造るためとか、
国を防衛するためなど、
庶民の財産を吸い上げる
れっきとした必要も理由もある。

だが得てして
実際は必要以上のものを吸い上げていて、
余剰分を自分のところに還流させる
仕組みを権力者は持っている。

文明の進んだ現代、
公金を横領するような
あからさまなことはやらない。

法律には触れないように
上手にそれをおこなうのである。

これはもちろん
日本だけのことではなく、
どこの国にだってある話だ。

「自分は他の人より優位に立ちたい、
豊かでありたい、オイシイ思いをしたい」

のは人類共通の感情なのだから。

政治家や役人は無能。。とんでもない。

身の危険を避けながら、
安定した世の中の仕組みから
自身と家族のより豊かな人生を抽出する。

それが今最大公約数として
もっとも有利でオイシイ生き方で
あるということを理解している。

とても頭の良い人たちなのである。

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投資家として、そしてFA(ファイナンシャルアドバイザー)として海外で20年間生き抜いてきた玉利将彦が独特の視点から語る海外投資の極意

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